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2012年10月1日、ネクソングループは、日本のモバイルソーシャルゲーム開発会社gloops(グループス)を100%買収したと発表した。(英文IR資料 link)

グループスの社員数は427人で、2012年6月現在、年間実績は売上高237億円、経常利益58億円、純利益30億9700万円を記録している。一番に、韓国を代表するメジャーモバイルゲーム会社を圧倒する実績が目を引く。ネクソンがこれまでM&Aで重要視して来た①キャッシュ・カウが明らかに存在し、②持分は少人数に集中しており、③ネクソンの既存ポートフォリオを補完するジャンル、もしくは経験できなかったマーケットに特化されている会社だと見ることができるだろう。

また、その実績とは相対的に、安価に買収できたという点も言及したい。これは、フィーチャーフォンを中心に、既存のゲーム業界とは多少毛色が違う日本のモバイルゲーム市場の特殊性とともに、グループス創業者の過去のトラブルが反映されたものと見られる。

最近のスマートフォンゲームブームにより、韓国のモバイルゲーム会社の株価は、吊り上がる一方だ。特にCom2Usの時価総額が韓国の代表的なオンラインゲーム会社ネオウィズゲームズを超えたことに注目したい。

Com2Usの株価総額は7272億ウォンで、ゲームビル株価総額は6489億ウォン。此度のグループス買収額は約5230億ウォン(非上場)だ。ただし、グループスの売上高、営業利益等はおよその推定であることを考慮してほしい。

IR資料によると、ネクソンの売上高の99%がオンラインで1%がモバイルだったが、グループス買収により、モバイル売上高の割合が24%と格段高くなった。加えて国別の売上高も中国47%・韓国27%・日本12%だったが、グループス買収後は、中国36%・韓国21%・日本33%になったと言う。

今やネクソンは、韓国系最大のモバイルゲーム開発・コンテンツパブリッシャーと言える。また、最近、世界のモバイルゲーム市場であらゆる意味で突風を起こしている日本市場での足場を得たわけだ。

ネクソンが今回のディールで得たものについて具体的に挙げてみよう。

1)日本のモバイルゲーム市場の現在を得る。

日本の内需市場の特殊性は、モバイルゲームも例外ではない。特にフィーチャーフォンをベースにしたゲームプラットフォームは、カードバトルを中心としたフィーチャーフォンゲームが大きな売上を上げている状況は驚かざるを得ない。(現在の内需だけで1ヶ月の売上額が200億ウォンを超えるモバイルゲーム会社が10社ぐらいある。)

しかし、まだmobage、GREEなどで成果を出している外国企業は珍しい。これはランチング・パブリッシングのプロセスや消費者の特性など目に見えない文化的・政治的ハードルがとても高いからでもある。

もちろん、ほとんどの韓国企業は、スマートフォンゲームと次世代モバイルネットワークゲームに開発力が集中しており、現在の日本市場との相性が良くないという理由もある。

ネクソンは、今回の買収によりこのような「ハードルを飛び越えた」わけではなく、「ハードルそれ自体を消した」と言える。どの外国企業よりも早く、日本のモバイル市場に安着したのだ。毎月100億ウォン以上の売り上げと日本市場で蓄積されたユーザープールとデータは、そえにくらべればおまけに過ぎないだろう。

2)日本のモバイルゲーム市場の未来に賭ける。

実際、クライアントの最新技術や革新的なゲームプレイ(一般的にゲーム性と定義している)という観点から見ると、現在の日本のモバイルソーシャルゲーム市場でヒットしたゲームの多くは、見た目があまりよろしくないことは否定しがたい。

ブラウザとテキストベースのゲームで、演出はせいぜいHTMLなどを利用した簡単なアニメーション、売上高の半分以上がフィーチャーフォンで発生し、開発費はイラストレーションアウトソーシングが最も大きな割合を占めている。それにもかかわらず、「度を超した」マネータイツ(有料化)戦略で社会的な問題になった。

グループスのゲームも例外ではないが、それにもかかわらず、ネクソンは日本のモバイルゲーム市場の未来に賭けたとみられる。実を言うと、上述した「既存のゲームに比べてものたりない点が多いが、不思議な事にnon-gamerが楽しんでいる。有料化と運営のノウハウが重要だ。」という特徴はまるで韓国のオンラインゲーム市場の萌芽期を連想させる。

最近日本では、商業的オンラインゲームを開花させた国が韓国なら、モバイル・ソーシャルゲームプラットフォームの始祖は日本という発言もしばしば耳にする。実際、モバゲーは世界初の成功的なモバイル(ソーシャル)ゲームプラットフォームとされ、GREEとDeNAは、その見事な実績をベースに、世界中に進出している。羽田空港、サンフランシスコ空港などでGREEの広告を見かけた方も大勢いるだろう。

このような状況で、これまではビデオゲームで代表されていた日本のゲーム業界の関心がモバイルに移動する兆しがあらゆるところで見えている。既に、コナミ・カプコン・バンダイナムコゲームスなどの営業利益が、相当部分モバイル・ソーシャル部門で発生している。また、最近はパズルアンドドラゴンズなど、スマートフォンでビッグヒットを記録したオリジナルタイトルが浮上するなど、日本のモバイルゲーム市場もスマートデバイスによる変化を迎えている。

ネクソンは、日本のモバイルゲーム市場が肯定的な方向に大きな変革を迎えるだろうと判断したのではないだろうか。日本のゲーム会社がスマートフォンに慣れる時点であればバリューがより高くなっただろう。ネクソンはバブルの頂点を上手く避けた。

IR資料から読める通り、スマートフォン環境でネクソンのグローバルIPがグループスの力量と相まってシナジーを産み出す時点が期待される。

3)日本の産業界、そしてDeNAとの関係を得る。

韓国会社(特にスタートアップ)が日本の内需市場を狙ってmobageとGREEでゲームを提供するのは容易いことではなかった。実際にCom2uS、ゲームビル、ネクソンのレベルを除けば、成功事例はほとんど無い。

歴史あるビデオゲーム開発会社を除けば、GREEプラットフォームの最大メジャー開発会社はgumiで、mobageプラットフォームの最大メジャーはグループスと言える状況で、ネクソンある意味ではDeNAと直結する、安定したパイプラインを確保したわけだ。今年、東京ゲームショーの開催直前、DeNAがグループスとの業務提携を発表し、海外のモバイルゲーム市場への事業拡大を打ち出しましたというニュースが発表されたこともある。これからはDeNAがネクソンのIPを使ったゲームを提供することも可能になったわけだ。

実際問題として、ネクソンは日本で上場したが、財界からも消費者からも一種の「コリア·ディスカウント」がなかったとは言い難いだろう。今回の買収は(拡大解釈するなら)日本でIPOして確保した資金を日本企業に投資して、今後も日本のゲーム産業界に貢献するというアピールが感じられる所もあった。

結果的に、これからネクソンは韓国のどんな会社よりも優れた日本国内でのモバイルゲームパブリッシング能力を自慢できるようになった。

ネクソンはどこに向かっているのか。

ネクソンもモバイル・ソーシャルゲーム市場のプレーヤーとして本格的に走り始めた。

韓国より日本市場の売上寄与度が高まった。

この二つはネクソングループ自らがIR資料で強調している部分でもある。グループス引受は、ネクソンの興味がもはや韓国ではなく海外に、そしてモバイル・スマート・ソーシャルという新しい分野に移っているという点を示している。(この3つの分野では、どうしてもプラットフォームが重要なキーワードにならざるをえない。)

私が考えるに、ネクソンという会社の興味深い点は、「プラットフォーム」ではなく「プラットフォームでの最強コンテンツパブリッシャー」を目指している所だ。どうせならネクソンのサービスが支配的なプラットフォームとして浮上してほしいところだが、それには多くの時間と試行錯誤が必要である。それでも巨大プラットフォーム企業を買収するのが容易なはずがない。

ネクソングループの開発力はとても優れている。しかし、未知のマーケットとプラットフォームで試行錯誤を重ねることはネクソンのやり方ではない。他のパブリッシャーやプラットフォームに振り回されるのも、やはり望んだ結果ではないだろう。

だから自然に有力プラットフォームとの関係が深い大型開発会社を買収する手順を踏んだのではないか。私は、ネクソンが1年以内にZyngaとどのようなディールをしてもおかしくないと思う。次のターゲットは、欧米で力を発揮しているキラーアプリ開発会社だろう。

Posted by 알 수 없는 사용자
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